Stockholm Design Lab

スウェーデン・ストックホルムを拠点にする Stockholm Design Lab。SOPHNET.は、この世界的に著名なデザインスタジオに 2025A/W のロゴのアートワークを依頼しました。北欧らしい合理的なアイデンティティは、ミニマルなタイポグラフィを得意としますが、それ以上に一貫した哲学がそこにあります。創設者のビョルンに話を聞きました。







私たちの仕事は多様的で、ユーザーがタッチする全てをデザインしています。

 私はもともと広告代理店で働いていましたが、1998年に Stockholm Design Lab(以下「SDL」)をスタートしました。偶然にもそれは、SOPH.と同じ1998年でした。その頃はちょうど、たくさんの国際的なエージェンシーがスカンジナビアに進出し、いろいろなスカンジナビアブランドがリブランディングを進めていました。しかし、そのプロジェクトはどれも優れたものとはいえず、私は常にフラストレーションを感じていました。これなら自分たちに何かできるんじゃないか。そう思って始めたのがSDLです。ストラテジストやアーキテクチャーたちと一緒に、わずか7名でスタートした、小さなカンパニーでした。
 初めてのクライアントはSAS(スカンジナビア航空)でした。これはスカンジナビアの歴史上でもっとも大きなプロジェクトだったと思います。航空機からラウンジ、ユニフォームやサインシステム、小さなウェットティッシュまで、約2,000点ものアイテムをデザインしました。その頃はソーシャルメディアが普及するどころか、インターネットも発展してなかったので、私たちの仕事を誰もが知ることではありませんでした。しかしニューヨークタイムズやウォールストリートジャーナルやウォールペーパーなどの国際的雑誌に特集され、世界中に扉が開かれていきました。スカンジナビアの枠を超え、大きなプロジェクトベースで仕事ができるようになった。私たちは、よくミニマルとか、ピュアなデザイン会社と評価されますが、実際はそれ以上の多様性をもっています。ユーザーがインタラクトするすべてのタッチポイントをデザインする、国際的なマルチディシプリナリー・エージェンシーです。

タイポグラフィは手仕事であり、感情を起伏させるパワーがある。

 SOPHNET.との仕事は、私たちの日常の作業ととても密接に結びついています。タイポグラフィーを用いることで、違う意味でのコミュニケーションができます。フォントを選択することによって、感情を喚起したり、物語を伝えることができます。例えば私たちは、ノーベルプライズの仕事をしています。それは100年以上にわたって選ばれてきた様々なフォントを整理し、1つのフォントにまとめあげるものでした。タイポグラフィとは、手仕事の延長にあります。だから人の心を高揚させる力をもっています。それは時に政治的や、思想的な意味合いを持つこともあります。タイポグラフィの大きな力を、私たちは信じています。
 それだけに、クライアントには会社のアンビション、つまりどこまで一緒に前に進めるのか、変化を受け入れられるか、という許容量について、慎重に尋ねて、パートナーを選びます。それは別に高慢になっているのではなく、どれほど情熱を注げるか?ということ。私たちは国際的な企業でも、インディペンデントなファッションブランドでも、そのような姿勢をもつ方々と一緒に仕事をしたいのです。私たちは、エリクソンなどの大きな企業のリブランディングを手掛けたりながら、翌週には納品しなくてはならないタプロイド誌のデザインも作っています。最近では、日本のシグマとの取り組みはエキサイティングです。彼らには、素晴らしい日本製の手仕事がある。その精神や意識をとらえたデザインをしています。
 SOPH.と私たちが同じ年に設立されたことは、長い年月を生き続けるためには、地に足をつけて革新的なビジネスを続けることが必要であることを証明しています。過去の名声に固執することなく、時代を共に前進するという強い理念を表現できる、SDLにとって大切なプロジェクトです。

ストックホルム デザイン ラボ

1998年、ビョルン・クソフスキーによって設立された、他分野にわたるデザインスタジオ。ブランディング、アートディレクション、アイデンティティ設計を専門に、スカンジナビア空港やポラスター、IKEAなどグローバルなクライアントに向けて、デザインという立場から総合的な価値を提供。日本でもオフィス用品を展開するASKULやレンズメーカーのシグマなどのビジュアルアイデンティティを手がけるなど、国際的に広く活躍している。

THE PORTRAITS

  • ダニエル・オーデンティア/アーキテクト&プロダクトデザイナー
    空間への好奇心と強い感性を掲げるスタジオ「Studio Odentia」のディレクターとして、施設や住宅まで、幅広く活動。ブルーが印象的なモジュール設計のFagerスツールは国際的に認められている。KTHの建築学部の講師でもある。

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  • サミ・トルッピ/Last ResortAB クリエイティブディレクター
    企業資本に依存しない、スケーターによるスケーターのためのシューズブランドの自立を目指し、2020年に共同創設者としてスタート。履き心地とコストバランスに優れたシンプルなコレクションが世界的に支持されている。

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  • オスカー・カールソン/ギャラリスト
    2021年に「ISSUES Gallery」を開設したオスカーは、ローカル、グローバル問わず活躍するエマージングアーティストに焦点を当て、不定形なコンテクストの展示を得意とする。自身の創作活動とキュレーションを両立している。

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  • グスタフ・ウィンスト/プロダクトデザイナー
    VRや機械設計を取り入れるインテリア&アクセサリーデザイナー。北欧のミニマリズムにポップなフォルムやストリートの文化を取り入れている。2025年にデザイングループBoboとの協業で、照明やステンレス什器をデザイン。

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  • トル・ウェスターランド/ストックホルム デザイン ラボ
    トル・ウェスターランドは、デザイナーとして2022年にストックホルム・デザイン・ラボに入社。ベックマンズ・スクール・オブ・デザインで学位を取得し、さまざまな分野で業界をリードするプランドと仕事をしてきた。

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  • エルサ・クソフスキー/ストックホルム デザイン ラボ
    ストックホルム デザイン ラボの多くのプロジェクトを管理し、プランニングからフィニッシュまでリードするプロジェクトマネージャー兼ストラテジスト。ビジネス戦略、クリエイティブ、職人的デザインの交差点で活動中。

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  • ルカス・スカルバック/ストックホルム デザイン ラボ
    2021年にストックホルム デザイン ラボに加わり、多くのクライアントとのプロジェクトにデザイナーとして貢献。3Dを駆使した3次元デザイン、モーショングラフィックス、写真に特化した、マルチディシプリナリーなデザイナー。

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  • ハンプス・フォン・ハウスウルフ/Nitty Grittyヘッドバイヤー
    欧州のファッションシーンをリードする老舗ブティック「Nitty Gritty」のヘッドバイヤー。ストックホルムらしい控えめで品のある、細やかなキュレーションに定評がある。日本のプランドともリレーションを図っている。

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PRODUCTS

SDLの手がけたロゴ・タイポグラフィを使用したプロダクトは、SOPH.shopSOPH.dealer、ONLINE STOREにて展開中。
※入荷状況は店舗によって異なりますので、詳細は各店舗までお問い合わせください。





      彼らの1998年の設立から2025年までの活動を網羅的に記録したモノグラフ・Stockholm Design Lab: 1998-2025が発売中。国内にも取り扱いがございますので、是非チェックしてみてください。